高エネルギー重イオン衝突における異常なJ/Ψサプレツションの研究
Project/Area Number |
00J02877
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
林垣 新 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 回折散乱過程 / ニュートリノ / ボトムニウム / 光円錐波動関数 / off-shell効果 / カイラル対称性 / N / D法 / ソフト化 |
Research Abstract |
HERA(DESY)を中心に実験が行われている高エネルギーレプトン-核子回折散乱に着目し研究を行った。今年度はこれまで培ってきたチャーモニウム生成の回折散乱過程(電子-核子散乱)における摂動論的アプローチを応用して、あらたに高エネルギーニュートリノ-核子からJ/Ψ粒子とは異なる量子数をもつ擬スカラー粒子η_cやη_b粒子を生成する過程を主に研究した。ニュートリノ-核子散乱は途中s-チャンネルに重いZボソンを交換するため、電子-核子散乱に比べその断面積はかなり小さくなるが、これまで多く研究がなされてきたJ/Ψ粒子のようなベクトル中間子以外の擬スカラー中間子生成を可能にする。実際、計算結果により同過程から擬スカラー中間子(η_c)生成断面積はベクトル中間子(J/Ψ)生成断面積に比べ、約10倍大きくなることが分かった。このことは擬スカラー中間子の観測可能性を示唆しており、更に重いη_b粒子観測への希望を開くものである。これまでη_b粒子はその存在の可能性が様々な理論的モデルにより示唆されているものの、実験的同定の難しさのため未だ観測にいたっていない。本研究ではη_b粒子生成断面積についても理論的な予言を与えた。今後期待されるCERN、Fermilab等によるより高いエネルギーのニュートリノビーム出現にともなって、η_b粒子を同定する一つの可能性を摂動論的QCDの立場から示唆できたことは、本研究成果の一つである。(本研究は現在Physical Review Dに登校中(hep-ph/0212067)であり、本年度国際会議においても発表済みである。尚、その国際会議のプロシーディングに関しては投稿中(hep-ph/0212088)である。) 前年度より研究してきた電子-核子回折散乱過程におけるJ/Ψ粒子生成の研究も、光円錐摂動理論を用いあらゆる角度から検討を行ってきた結果、ほぼ信頼のおける理論的結果を得るにいたった。新しく取り入れた点は、一つはJ/Ψ粒子の光円錐波動関数の1S成分のみを保証するための方法としての射影演算子をコバリアントな枠組みから導入した点、もう一つはこれまで理論的枠組みの欠点として残っていたクォークプロパゲータのoff-shell効果の取り組みを改良した点にある。これまでいずれも理論的不定性の要因であったが、今回この2つの不定性を理解することができ、信頼性のより高い理論的結果を得ることができた。(本研究の成果は今年度の国際会議で発表され、そのプロシーディングに関しては投稿中である。) 媒質中でおこるカイラル対称性の回復を調べるため、原子核中のπ-π散乱へのρやσ-チャンネル依存性を上手く取り込んだN/D法を使って、複素平面状でのそれらのポール位置の変化を調べた。媒質密度を上げるとベクトル粒子やスカラー粒子はともにソフト化されることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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