Project/Area Number |
00J03417
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
中井 裕之 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | スピノザ / 直観知 / 自然主義 / 自己知 / 自己探求 / 自然 / 教育 / 内在の思想 |
Research Abstract |
コメニウス(Joannes Amos Comenius)の自然主義思想では超越的なる神が存在し、人間が従うべき規範としての自然もあくまでも外在的に考えられるが(客観的自然主義)、スピノザ(Benedictus de Spinoza)の自然主義思想には外部はなく、彼は世界の一切の原理は世界の内にのみ存在するとする「内在の思想」(汎神論)を提示する。スピノザにおいて自然的世界における唯一の実体は神であり、この神は「自然」そのものを指す。人間を含め一切の事物は「自然」の変状である様態に外ならず一切の事物は「自然」を一定の仕方で表現している。それゆえスピノザの自然主義思想の究極目標は、自然=本性(natura)の体現であり、それはこの実体の把握、すなわち最高の認識である「直観知」の獲得により実現される。人間は「直観知」において神ないし「自然」を直観するが、そこにおいてはじめて真の自己、真の世界が見出される。「直観知」が示すものは最も近くにあるものであるが、その最も近きものは最も遠きものである。「高貴なるものはすべて希有であるとともに困難である」。人間にとってむしろ重要なのはそうした得難きものを得ようとする姿勢そのものであり、人間は真の自己を求めるべく努力しなければならない。これこそ彼の主著『エティカ』の結論とするところである。ここにスピノザの哲学は倫理学(エティカ)となる。実体としての「自然」の把握を目指すスピノザの自然主義思想はその体系そのものの内に人間が真の自己を求める自己探求性を内包している。彼において自己とは神すなわち「自然」の体現者としての自己であり、自己を知ることは人間が自らの本源に立ち返ることを意味する。そこには東洋の仏教的解脱に通じる思想が展開されている。スピノザによれば、人間形成の終局は自己知へと至ることである。したがってそこから教育の役割とは、人間の自己探求に手を貸すことであるという結論が導かれる。
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Report
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Research Products
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