シロアリ社会の開放性と閉鎖性の決定機構およびヤマトシロアリと菌核菌の共生
Project/Area Number |
00J03466
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
松浦 健二 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ヤマトシロアリ / 菌核菌 / 単為生殖 / 進化生態学 / 社会性昆虫 / 多雌創設 / 共生 / 性比 |
Research Abstract |
1.近縁種間比較によるシロアリの単為生殖と有翅虫性比の関係解明 昨年度までの研究により、Reticulitermes speratusの雌有翅虫は群飛後に雄と遭遇できなかった場合、単独又は二雌の協同創設によってコロニーを創設し、単為生殖を行うことが明らかになった。オスはメスと遭遇できなければ、コロニーを創設できないが、メスはたとえオスと遭遇できなくても、単為生殖という次善策によってコロニーを創設可能である。したがって、本種はメスが単為生殖能力を有することによって、雌雄の有翅虫で繁殖価が非対称になり、性比がメスにバイアスすると考えられる。本仮説の検証のため、単為生殖能力を有するR.speratusと、単為生殖能力を持たない近縁種のR.flavipesの性比(個体数性比および投資性比)と性的二型について調査を行った。その結果、単為生殖を有する種の性比は有意にメスに偏っており、一方、単為生殖能力をもたない種では、観察された性比は帰無仮説の1:1と有意差が認められなかった。さらに、R.speratusではメスの体サイズの方がオスよりも有意に大きいのに対し、R.flavipesでは有翅虫に一貫した性的型は認められなかった。これは、単為生殖による創設にはオスからの栄養投資がなく、メスにかかる負荷が大きいため、常に一夫一妻で創設する種よりも性的型の程度が増すためだと考えられる。また、初期コロニーを用いてR.speratusの一次性比を調べたところ、一次性比は1:1であることから、本種のメスに偏った有翅虫性比は、Sex ratio distorter(SRDs)によるものではないことが示された。 2.米国東海岸に於けるシロアリの卵擬態菌核菌の調査 日本に分布するR.speratusは、卵魂中に卵擬態菌核菌をきわめて高い確率で保有することが分かっている。この菌核菌はシロアリの卵に化学的、物理的に擬態することによって、シロアリによる保護と伝搬を受けている。シロアリと共生菌核菌の関係は、R.speratusのみで知られており、他の近縁種に於ける卵擬態菌核菌の保有は確認されていなかった。そこで、ハーバード大学進化生物学分野昆虫学研究室において、米国東海岸に分布するシロアリと共生菌核菌保有を調査したところ、R.speratusの近縁種R.flavipesが同様の菌核菌を卵塊中に保有することが明らかになった。また、R.flavipesの6コロニーから、共生菌核菌を単離し、培養することに成功した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)