Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は、これまでに収集してきて史料をもとに、研究成果の公刊に努めたため、海外旅費は使用せず、国内学会(日本ポルトガル・ブラジル学会大会、比較文明学会大会、東南アジア史学会大会など)での研究報告のために、国内旅費を多く使用した。これらの報告は、各学会で称賛を受け、学術論文刊行のための基礎となっている。これを踏まえて、現在数本の学術論文を準備中である。また長年携わってきたプロジェクトである島根県石見銀山の研究に関して、『石見銀山;年表編年史料綱目篇』と『石見銀山;研究論文篇』が出版され、本研究費による研究成果もその中に組み込まれており、自身のここ数年の研究を集成するかたちで、共著2冊として完結を迎えた。昨年夏に臨川書店古書部より東京大学史料編纂所編訳『日本關係海外史料』シリーズ全36冊他、近世対外関係研究者必携の貴重書などを消耗品費で購入した。手近にこれらの図書を備えたことから、原文と訳文の対照が容易となり、上記史料編纂所の訳文にも多くの間違いを見出した。この重要な誤訳については、本研究のメインテーマのひとつである17世紀前半のマカオ史に大いに影響するところであり、目本ポルトガル・ブラジル学会大会での研究報告の中でも一章を設けて、詳しく解析した。国内調査としては、7月に九州北部への調査旅行をおこない、13年度の調査に引き続き、平戸・生月島・島原半島・長崎などにある各日葡関係史展示資料館などを巡った。とくに生月島「島の館」学芸員中園氏から、本研究に対する貴重なアドバイスを得、今後の日本-ポルトガル関係史解明の上で、これらの調査結果をまとめることが急がれる。これは2004年に公刊予定の拙著『伝記ルィス・フロィス』(ミネルヴァ書房)の中で扱う予定である。
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