Project/Area Number |
00J03535
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
光田 展隆 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 新規転写因子 / 篩部 / シロイヌナズナ / 二量体化 / ヒメツリガネゴケ / インバーテッドリピート / NACファミリー / ジンクフィンガー |
Research Abstract |
前年までのレポーター遺伝子を用いた研究により、シロイヌナズナ液胞型H^+-PPase遺伝子(AVP1)のプロモーター領域を短くすると、花粉でのみ発現を誘導することを発見し、その花粉特異的発現に関与する領域を38塩基対の範囲内にまで同定した。さらにこの38塩基対の領域をバイト(釣り餌)にして酵母ワンハイブリッド法により、この領域に結合するであろう転写因子の同定を試みた結果、3つの転写因子を同定した。これらはいずれも花粉での遺伝子発現制御とは無関係であることがわかったが、これらのうちの2つはお互いにアミノ酸レベルで45%の相同性を持つ新規分子であり、維管束植物(と一部のコケ植物)特異的に分布し、また、ジンクフィンガーモチーフを形成し得る配列を含んでいたためAtVOZ1,2(Vascular plant specific One Zinc finger protein)と命名した。AtVOZ1,2は植物特異的転写因子ファミリーであるNACファミリーと若干の相同性を持つ他には既知のタンパク質とまったく相同性が見出されなかったが、ゲルシフト解析等の結果からGCGTNx7ACGCというInverted repeatを含む配列を特異的に認識してDNAに結合し、植物において転写因子として機能していることがわかった。また、そのキレーター感受性等からAtVOZ1,2は確かにジンクフィンガーを持つことがわかったが、DNAへの結合にはそれだけでは不十分で、あとに続く保存された塩基性領域(NACドメインと若干の相同性を持つ)も必要であった。さらにAtVOZ1,2は二量体化してDNAに結合することを明らかにしたが、この二量体化はジンクフィンガーの後に続く塩基性領域が担っていることがわかった。つまりAtVOZ1,2は塩基性領域で二量体化してジンクフィンガーによりDNAを認識する新しいタイプのDNA結合モチーフ(VOZドメインと命名した)を持つことがわかった。また、これらVOZタンパクの機能を探るべくその発現領域を調べた結果、AtVOZ1は篩部特異的に発現していることがわかったが、そのESTは維管束植物のみならず一部のコケ植物(蘇類)でも発見された。蘇類は篩部によく似た組織を持っていることから、VOZ遺伝子は陸上植物が篩部を獲得するにあたって誕生したとも考えられ、篩部の形成、維持という維管束植物の根幹に関わる重要な役割を果たす転写因子ではないかと推察された。このように本研究の成果はDNAと転写因子の結合様式に新たな1ページを書き加えるばかりか、維管束植物の機能形成研究に新たな役者の存在を提示するものである。
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