Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.昨年度から継続している熱圏中性大気風速の太陽活動度依存性についての研究をさらに進めた。MUレーダーにより観測された過去15年間のデータを用い、熱圏中性大気風速の太陽活動度依存性について研究を行った。周波数解析によって得られた中性大気風速の24時間・12時間・8時間周期成分の振幅やDC成分(24時間平均)は、太陽活動度が高くなるにつれて小さくなっていく。本研究ではこの主たる原因と考えられているイオンドラッグの効果を計算し、イオンドラッグの効果が太陽活動度の上昇に伴って強くなることを確認した。本研究の内容は現在Journal of Geophysical research誌に投稿しており、現在改訂中である。2.電離圏・熱圏と下部熱圏の相互作用について一昨年から継続している研究をさらに進めた。2001年3月に行われたMUレーダーによる電離圏・熱圏・下部熱圏の同時観測時に、強い地磁気擾乱が発生した。この時の観測データの解析を進めた。地磁気擾乱が発生した時、熱圏中性風・下部熱圏中性風ともに南向き成分の増加が見られ、極域の加熱により形成された極駆動の循環が静穏時の対流に影響を及ぼしている様子が明らかとなった。地磁気擾乱発生直後からF層が持ち上げられるように上昇しており、これは中性風の影響であると考えられる。さらに擾乱発生5時間後には中性大気組成の変化によると思われるF層下部で電子密度の減少が見られている。さらに、この擾乱が発生した日の夜間1時30分くらいに信楽上空で波長630nmの大気光の増光が見られ、これに対応するようにGPS-TECの増大した領域が信楽上空を通過した。MUレーダーによる電子密度観測ではこのときF層下部で数時間スケールの電子密度上昇が見られており、これら一連の現象は数値モデルによる検証の結果、数時間スケールの北向き中性風が磁力線に沿ってF層を押し下げたことによるものと解釈される。これらの研究成果は2本の論文として投稿するように現在準備中であり、近々投稿予定である。
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