Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は、極低温量子固体である固体パラ水素中で、ラジカルとその周囲の水素分子とのX+H_2→XH+H型純トンネル反応を実験的に追跡することである。これまでメチルラジカルとその重水素置換体(CH_3,CH_2D, CHD_2,CD_3)が関与する反応について、その詳細な観測を行ってきた。ヨウ化メチルの光解離によって生成したメチルラジカルは、5Kという極低温環境下でも、周囲の水素分子と反応してメタンを生成することを見出している。しかし、実際には光解離の過程で生じるヨウ素原子や、観測に使われる分光用光源の影響などのため、反応が複雑になり純トンネル効果の反応速度定数を正確に求めることが難しかった。そこで今年度は、測定時に光学フィルターを用いて反応に影響を及ぼすと思われる赤外光を排除するなど、様々な実験条件のもとで測定を行った。さらに得られたデータに対してシミュレーション計算を行うことで、純粋にトンネル効果のみによる反応速度を求めることに成功した。その結果、ラジカルの重水素置換によって反応速度が大きく変化することが明確になった。重水素置換することによる化学反応ポテンシャルの変化がほとんど無いことから、トンネル化学反応における速度を決定する要素として、始、終状態の振動回転エネルギーレベルの共鳴の大きさが重要であると結論した。
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