江戸期における西欧医学知識の受容-宇田川玄真『医範提綱』を中心に-
Project/Area Number |
00J03601
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
科学技術史(含科学社会学・科学技術基礎理論)
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
クレインス F. (2002) 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
クレインス.F フレデリツク (2000-2001)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 蘭学 / 医学史 / 解剖学史 / 生理学史 / 宇田川玄真 / 医範提綱 / 遠西医範 / 解体新書 |
Research Abstract |
本研究は宇田川玄真『医範提綱』およびその草稿である「遠西医範」を対象としている。本年度は、「遠西医範」のうち現存する五つの写本を分析し、各部分についてその典拠を同定確認した。また、内容比較分析の結果、純粋に解剖学的といえる記述部分には、主にパルフェイン(Johan Palfyn,1650-1730)『外科用解剖学』が、一方、生理学および思想的記述においてはもっぱらブランカールト(Steven Blankaart,1650-1704)『新訂解剖学』が利用されているということを解明した。特に、神経思想に関して、玄真は杉田玄白や大槻玄沢と同様にブランカールトの神経液説を受容していることを論証した。 また、『医範堤綱』の銅版図の原図の確認および分析を行なった銅版図の原図擬調査の結果、フェルヘイエン(Philip Verheyen,1648-1710)がその主要な典拠であることを確認した。また、さらに、銅版図における玄真の受容態渡について、オランダ語版解剖書における新旧諸原図の間に選択の余地がある場合、玄真は古い図の方を選んでいることを解明した。 次に、『医節提綱』の内容分析を行なった。その結果、『医範堤綱』における神経に関する思想的内容については、ブランカールトの神経液説が受容され、その受容過程において、ブランカールトの魂・身体元論を含む機械論的思想から内経医学思想への変容がみられることを論証した。一方、『医範提綱』における呼吸や血液循環、消化、受精などのほかの生理機能に関しては、内経医学的要素が少なく、オランダ語版解剖書における諸説がそのまま受容されていることを示した。 最後に、『医範提綱』の普及状況を調査した。その調査結果として、『医範提綱』は蘭学塾などにおいて教科書として広く利用され、文化2年から幕末までの長い間、蘭学者たちの西洋医学の基礎知識を与えてくれる書物であったということを論証した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)