Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
うま味の代表物質であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)応答には、グルタミン酸受容体(GluR)が味細胞に存在し、それらの介在による複数のメカニズムが考えられている。本研究課題の開始に先立って、C57BL/6Jマウスの味細胞を用いたホールセルパッチクランプ法による応答記録からMSG単独刺激、MSG+IMPの混合刺激に対して3タイプの応答(一過性内向き電流応答、持続性内向き電流応答、外向き電流応答)を示し、混合刺激では単独刺激に比べて2タイプの内向き電流応答が顕著に増大することを既に報告し、これらを相乗効果応答とみなした。本研究の14年度では、上述した2つの内向き電流応答を指標に、これらの電気生理学的な解析から、Gタンパク質がうま味のトランスダクションに関与しているかどうかを、Gタンパク質不活性化剤であるGDPβSを用いて検討を行った。味刺激液としては10mM MSG+0.5mM IMPを用いた。ホールセル形成後、5〜10分放置しGDPβSを拡散させた後に、味刺激を行った。その結果、応答の無い細胞が70%、外向き電流応答のみを示すものが30%と言う結果を得た。これはGDPβSを添加していない先の結果とは全く異なる結果となった。すなわち、相乗効果応答に相当する応答は示されなかった。この結果においてGDPβS添加により内向き電流応答が得られなかったことから、内向き電流応答には、Gタンパク質が関与していることが示唆される。どのタイプのGタンパク質が関与しているのかを解明するには、更なる検討が必要である。また、これまでの結果より外向き電流応答にはmGluR4の関与が示唆されていたが、Gタンパク質不活性化剤であるGDPβSを用いているにもかかわらず、外向き電流応答が得られたことから、外向き電流応答にはmGhIR4は関与していない可能性が示された。外向き電流応答のメカニズムについての検討も今後の課題である。
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