Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
平成12年度より継続して、細菌Sphingomonas sp. A1株の高分子物質取り込み系ポンプにおけるペリプラズム局在性のアルギン酸結合タンパク質AlgQ1、AlgQ2の機能と構造の解析を行った。BIAcore、並びに紫外吸収差スペクトルの測定により、AlgQ1、AlgQ2の機能解析を行った結果、両タンパク質がアルギン酸をはじめとするゲラン、ペクチンなどのウロン酸含有多糖と特異的に結合することが明らかになった。AlgQ1、AlgQ2各々のapo型、ならびにholo型(アルギン酸分解物:4糖との複合体)の高次構造をX線結晶構造解析により決定した。本タンパク質は、基質結合タンパク質としては2例目となるカルシウムイオン含有タンパク質であった。Apo型のAlgQ1、AlgQ2は、2つのドメインが開いた構造(open form)であり、基質であるアルギン酸が結合するとドメインが接近し、閉じた構造(closed form)となる。Closed formはopen formに比べ、ドメイン間の角度が約37°(AlgQ1)、あるいは30°(AlgQ2)閉じており、ドメイン間の開閉によりアルギン酸を結合・解離させていると考えられる。AlgQ1、AlgQ2の立体構造は非常によく似ていたが、apo型のAlgQ1がAlgQ2に対し約7°ドメイン間が開いており、アルギン酸結合に関与するアミノ酸1残基が異なっていた。ドメインの開閉はドメイン間を繋ぐループの構造変化に依存する。ループの構造変化は、水1分子の出入によって制御されることを明らかにした。本タンパク質は酸性糖であるアルギン酸を基質とするため、結合には塩基性の残基が特に重要な役割を担っており、この点において既知の糖質結合タンパク質と異なっている。
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