Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでに我々は、p73スプライシングバリアントめ一つであるp73βが、がん抑制遺伝子産物p53とは逆にWnt/β-cateninシグナルを活性化することを見出した。この活性化にはp73βの転写活性化能を必要としたため、p53では転写誘導されない、p73β特異的な標的遺伝子が存在することが予想された.そこで、アデノウイルスベクターを用いてp73βを培養細胞内に発現させ、LacZを発現させたコントロール細胞との間で遺伝子発現の違いをSuppression Subtractive Hybridization法を用いて検索した。その結果、p73βによりmRNAの発現が誘導されるいくつかのcDNAを単離した。Northern Blot法による解析から、その中にp53では発現誘導されずp73βでのみmRNAの発現が誘導される遺伝子が存在することがわかった。この遺伝子産物が、Wnt/β-cateninシグナルを活性化するかどうかについてレポーターアッセイ法を用いて検討したが、活性化が認められなかった。しかしながら、この遺伝子産物はp73に依存したアポトーシスに重要な役割を果たしていることがわかった。上記研究と共に、肝がんで変異が多数認められるWnt/β-cateninシグナルに関する研究にも着手した。Wnt/β-cateninシグナルの阻害因子であるキナーゼNLKは転写因子TCF/LEFをリン酸化することが知られる。我々は、NLKがそのキナーゼ活性とは非依存的にWnt/β-cateninシグナルを阻害することを見出した。また、NLKによるTCF/LEFのリン酸化が、TCF/LEFのタンパク質安定性に影響を及ぼすことを明らかにした。
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