Project/Area Number |
00J03697
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
倫理学
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
林 芳紀 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ジョン・ロールズ / 人格の別個性 / 功利主義批判 / コミットメントの緊張 / 社会契約論 / 契約主義 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の研究に引き続き、ロールズの正義理論に見いだされる倫理学方法論についての研究成果を学会発表、及び論文という形で公表した。今年度の補助金は、主に上記の研究の遂行に必要な多数の関連図書の購入に用いられた。 まず、昨年度に学会で発表したロールズの「人格の別個性」の主張についての考察をさらに展開し、論文(「ロールズの功利主義批判と『人格の別個性』の問題」)という形にまとめた。この論文では、「功利主義は人格の別個性を真剣に考慮していない」というロールズの主張がどのような意味に解釈されるかという問題を議論の軸に据えることにより、この主張は功利主義に対する「批判」としては不十分であるものの、それは功利主義理論の根底にある独特な「不偏性」概念と、一個人の選択理論の社会への拡張という顕著な方法論的特徴を描き出すものであり、しかもそれはロールズの契約論的な方法論と対照されて初めて意味をなす主張であることを明らかにした。 次に、ロールズの契約論的な方法論の特徴についても、昨年度の研究をさらに展開する形で追究し、その成果を日本倫理学会において発表した(「ロールズの契約論と『コミットメントの緊張からの議論』」)。この発表では、まず原初状態で功利原理が却下され「正義の二原理」が採択される主要な理由が「誠実な合意を行なう」という契約条件に由来するものであり、その限りにおいてロールズの契約論は純粋な合理的選択への還元というよりも強い道徳的色彩を帯びていることを指摘した。そしてその点がロールズの契約論を強力に特徴付けており、いわゆるホッブズ型の契約論とは区別された「契約主義」という新たな理論モデルが提示されていることを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)