Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
2000年度にタイ・カオヤイ国立公園の永久調査区(4ha)に設置した100個の種子トラップ内の種子、果実数を月2回の頻度で継続調査した。種子、果実量ともに大きく季節変動していた。しかし、2000年度、2001年度とは、まったく違う変動パターンを示し、年変動も大きいことが示唆された。2000年度と2001年度にサイチョウ散布植物として注目し、上記の調査地内で全数調査を行ったAglaia spectabilis(830個体)とCanarium euphyllum(30個体)について再調査を行った。A.spectabilisの実生は、当年生実生では生存率が低く、実生のサイズが大きくなるほど、生存率は増加した。また新規加入個体はAglaia spectabilis結実木周辺や、Dipterocarpus gracilis、Ficus spp.といった調査地で林冠の上層部を占める樹種の下に多い傾向が見られた。一方、C.euphyllumの当年生実生はすべて死亡しており、新規の加入個体も確認されなかった。A.spectabilisの結実木4本を用いて総計25日間100時間の林冠部での果実消費の連続観察を行った。同時に林床で自動撮影装置を用いて、落果の果実消費者を調査した。林冠部ではサイチョウ4種とリス2種が果実消費を行った。リス2種は果肉と種子を消費する種子食害者として作用するため、4種のサイチョウのみが種子散布者として働いていることが示唆された。また自動撮影装置の結果から林床の落果を消費するのは主にげっ歯類でそのほとんどが種子を捕食していたため、種子食害者と考えられた。これまでの3年間の調査結果を、1)果実と果実食動物の相互作用、2)Aglaia spectabilisにおけるサイチョウの種子散布、3)サイチョウの巣穴への種子散布の影響、4)サイチョウ散布果実の特徴、の4編の投稿論文としてまとめ、そのうちの1編は既に受理され、2002年12月にOecologiaで発表された。残りの3編は、現在審査中である。
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