Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ニューログリカンC(NGC)は、中枢神経特異的な発現を示す膜貫通型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである。昨年度までの研究で、脳の発達に伴い、NGCの一部が脂質ラフトに局在すること、また、NGCはNGCと共沈するプロテインキナーゼにより、コアタンパク細胞外領域のセリン残基がリン酸化されること、そして、そのリン酸化はカゼインキナーゼIIに似た性質を持つプロテインキナーゼによりなされることが明らかになった。プロテインキナーゼの中には細胞表面において作用するエクトプロテインキナーゼ活性の存在が確認されており、多くの細胞機能への関与が報告されている。そこで、本年度はNGCのリン酸化セリン残基の位置決定とエクトプロテインキナーゼによるNGCリン酸化の可能性について検討した。まず、生後21日齢ラット脳膜画分を用いたNGC抗体での免疫沈降に続くin vitroキナーゼ反応により[^<32>P]標識したNGCを臭化シアンで分解し、リン酸化ペプチドマッピングをおこなった。その結果、NGC細胞外領域の230番目のグリシンから259番目のロイシンまでの配列のセリン残基の中にNGCリン酸化部位が存在すると予想された。次に、ラット胎仔大脳皮質初代培養神経細胞を1mM Na_2HPO_4の存在下で[γ-^<32>P]ATPとインキュベートした結果、NGCが^32P標識された。この標識は、培養液中に1mM非標識ATPを添加することで完全に阻害された。この結果は、NGCが細胞表面においてエクトプロテインキナーゼによってリン酸化されることを示す。一方、細胞に[^<32>P]正リン酸を取り込ませた時、^<32>P標識されたNGCは1mM非標識ATP存在下(エクトプロテインキナーゼによるNGCの^<32>P標識を完全に阻害する濃度)でさえも検出された。以上の結果は、NGCが細胞質内、および細胞表面の両方においてリン酸化されうることを示している。
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