Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
抑うつ状態やうつ病の最悪の結末は自殺である。この自殺を予防する際には、抑うつ状態を早期に発見し、適切な介入を行うことが必要である。同時に、困難な状況に陥ったとき、自殺を考えたり試みたりする前に、周囲の人や専門家に相談する等の自殺以外の対処ができるようにするため、また自分や周囲の人が抑うつ状態になったとき、それに気づき適切な対応ができるようにするため、抑うつや自殺に関する心理教育も必要である。本研究では以上のような視点にたち、地域高齢者の抑うつ状態・自殺危険性を早期に発見し、保健婦や医師による早期介入・フォローアップを行うと共に、抑うつや自殺に関する心理教育を含んだ啓発活動を行う、総合的な抑うつ・自殺の予防プログラムを開発することを目的としている。そこで、まず高齢者の抑うつ状態や自殺危険性を発見するための簡便なスクリーニング尺度を作成した(採用第1年度報告)。次にその信頼性と妥当性の検討を行ったところ、抑うつと希死念慮を有する高齢者を弁別する能力は比較的良好であり、信頼性も確認された(採用第2年度報告)。また、この新スクリーニング尺度を壮年期後期の被検者に実施する場合には、cut-off pointを2点以上にすべきである可能性が示唆された。また、抑うつ状態や自殺念慮の仮想場面に対する援助希求行動を調査したところ、非専門家に相談すると回答したのは半数以上で、専門家に相談すると回答した者は、現在受診している病院の医師や保健婦に話すとの結果が得られた。これらの結果から、地域における精神保健に関する知識の普及、専門家への連絡体制の整備、非精神科の医師や保健婦にも精神疾患の知識を普及することなどが必要と考えられる。そこで現在は、スクリーニングを継続して行うとともに、1次予防活動として、うつ状態や自殺に関する心理教育・啓発活動を行い、その効果を検討している途中である。
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