Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
現在、3レベル三相電力変換器として電力変換器主回路部分にパワー半導体スイッチングデバイスを12個用いたものが大容量応用分野を中心として広く適用されている。これに対して近年、整流器に関する新しい変換器として電力変換器主回路部分にパワー半導体スイッチングデバイスを3個しか持たない画期的な3レベル三相3スイッチ整流器が提案されている。既にヨーロッパを中心とする世界各国において通信用電源等の応用分野に適用され、高い評価を受けている。しかしながら、3レベル三相3スイッチ整流器はその特異な構造上、どうしてもスイッチング時に損失を発生し易く、また電磁ノイズ、伝導性ノイズ共に問題となっており、現在は大きなスナバ回路の適用、ならびにノイズフィルターの設置により対処しているのが現状である。この問題点に着目し、スイッチング損失、電磁ノイズ、伝導性ノイズを理論上同時にゼロにすることが可能なソフトスイッチング技術を3レベル三相3スイッチ整流器に導入した。今回提案した一括型補助共振転流アームリンクスナバ回路は三相分のスイッチングを一つの補助共振回路により全てソフトスイッチング達成させるものとなっており、その簡易性から、低コスト、ダウンサイズ化等のメリットも望むことができる。この3レベル三相3スイッチ整流器をソフトスイッチング化させた論文や研究、特許は全く存在せず、現在提案した回路方式は非常に注目されている。2003年2月には電気学会誌産業応用部門誌(D分冊)にてレターとして研究成果を掲載され、他の研究者から多くの問い合わせを受けている。具体的な検討結果としては以下のことが考えられる。1.今回提案した一括型補助共振転流アームリンクスナバ回路を導入することにより、補助共振回路を含めた全てのパワー半導体スイッチングデバイスにおいてソフトスイッチングを実現していることの確認。2.全く新しい観点からノコギリ波比較制御を行うことにより、1サンプリング期間内に提案した補助共振回路を1回しか動作させないことにより、整流器全体の効率向上効果の確認。3.補助共振転流アームリンクスナバ回路を導入させても、従来と全く変わらない力率1のPFCコンバータ動作を実現していることの確認。また昨年提案したマルチレベル電力変換器用電圧クランプ型低損失スナバ回路の研究成果の一部は世界で最も権威のある国際学会の一つの2002年にクロアチアのドブロブニク市内で開催されたパワーエレクトロニクスとモーションコントロールに関する国際学会(EPE-PEMC'02)にて講演発表を行っている。
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