Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は配列特異的一本鎖DNA結合蛋白質(sequence-specific single-stranded DNA-binding protein : SSDBP)の特性、一本鎖DNA間(ssDNA)の相補鎖認識再結合能、さらにDNAアレイ技術を組み合わせた新規の蛋白質アレイ方法の開発を目的としている。本技術においては蛋白質とssDNAの複合体を作成することで、チップ上に固定化されたDNAプローブに蛋白質-ssDNA複合体を添加しアニリングさせることでssDNAの相補鎖認により位置特異的に蛋白質を固定化できる技術である。本技術はプロテインアレイチップ作成の新たな手法を提案するものである。平成12,13年度において申請者は鶏のα2(I)コラーゲン遺伝子のプロモーターに結合し、シトシン塩基とチミン塩基の繰り返しからなるCTリッチな配列を持つssDNA (CTssDNA:5'-TCT-TCCCTCCCT-TCC-TCCCTCCCT-C-3')に特異的に結合するSSDBPをクローニングし、融合発現ベクターpET15bを用いてN末端にヒスチジンタグを持つSSBP ((His)-SSDBP)の大腸菌で発現し、精製した。本年度は、固定化をするモデル蛋白質としてPQQを補酵素とするグルコース脱水素酵素(PQQGDH)を用いて本アレイ方法の評価を行った。まず、架橋法により、PQQGDH-SSDBP複合体を作成した。次にSSDBPの認識配列を含むssDNAにPQQGDH-SSDBP複合体をSSDBPの特性を用いて結合させ、ssDNA-SSDBP-PQQGDH複合体を作成した。このssDNA-SSDBP-PQQGDH複合体を金電極に固定化された複合体のssDNAと相補的な配列を有するプローブDNAとアニリングさせることで基盤上への固定化を行った。複合体の固定化評価は、アニリング後の金電極を作用極として用いたアンペロメトリックグルコースセンサーを構築することにより、グルコースの添加に伴う応答電流値を指標に行った。その結果、ssDNA-SSDBP-PQQGDH複合体のssDNAの相補鎖プローブDNAが固定化された金電極を作用極として用いた場合は、相補鎖ではないプローブDNAが固定化された電極と比較して高い応答電流値が得られた。このことから、DNA分子と蛋白質のバインダーとしてSSDBPを用いることで、ssDNA-SSDBP-PQQGDH複合体を形成させることができ、複合体のssDNAの相補鎖認識を用いて、プローブDNAが固定化された基盤上にssDNA-SSDBP-PQQGDH複合体を位置特異的に固定化できることが示された。このことからターゲット蛋白質の種類に応じてアニリングさせる配列を変えることで、任意のターゲット蛋白質をDNAアレイチップ上に位置を制御してアレイすることが可能であり、多数の蛋白質がアレイされたプロテインアレイチップ作成への本技術の応用が期待される。
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