Project/Area Number |
00J05010
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
平野 哲也 筑波大学, 農林学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 村方地主 / 小百姓 / 米穀商売 / 地域資源 |
Research Abstract |
江戸時代中後期に主穀生産地帯としての特性を有していた下野国芳賀郡では、米穀商売を営む村方地主が周辺の小百姓から米穀を購入・集荷し、江戸や地方城下町の米穀問屋に販売するという重層的な流通網ができあがっていた。地主は複数の町方商人と直接的な取引関係を有し、緊密な情報交換によって村に居ながら迅速な市場対応を行った。小百姓がわずかな生産物を独自に町場へ輸送・距売しようとすれば、費用・労働を自弁し、さまざまなリスクも背負い込まねばならなかった。その点、地主の米穀商売は、いつでも容易に換金できる販売市場を村々にもたらしたという意味で小百姓のメリットとなっていた。小百姓は、村方地主の資金・信用力や町方商人とのつながりを間接的に享受しつつ、自家の米穀を換金していたといえる。地主にとっても小百姓の販売意欲が米穀商売の支えであり、小百姓の意向をくみ取りながら、いかに多くの米穀を集荷できるかが経営の課題となった。また村方地主は、芳賀郡の米毅生産に不可欠な魚肥を仕入れ、小百姓に販売する商人でもあった。地主は肥料商と米穀商を兼営する場合が多く、肥料前貸しによる米穀集荷という前貸し仕込生産関係の構築もみられた。ここには、生産・流通・販売を通じた村力地主と小百姓の密凄不可分の関係がみてとれる。 18世紀後半以降、村方地主は、米価低迷の状況下のなかで、米生産・販売の不振を打開するために酒造業を開始した。地主は、自らの取引関係・情報力・企画力を駆使して、自家の資金と米・水・山(燃料)・流水エネルギー(水車)など諸々の地域資源を結びつけ、地域の労働力を編成し、米からさらなる商品価値(酒とその副産物)を生み出した。 以上のことから、居村に根差した村方地主が小百姓と一体となって地域資源を活用し、地域経済の安定、活性化を実現していたことが指摘できる。
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Report
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Research Products
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