Project/Area Number |
00J05526
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
|
Research Institution | Waseda University |
Research Fellow |
藤澤 明寛 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 被解放自由人 / 社会流動 / 碑文史料 / 都市参事会員標章 / 財政貢献 / オスティア / 食糧供給 |
Research Abstract |
本研究の目的は、被解放自由人(解放奴隷)とその子孫達が如何にローマ社会に組み入れられていったかを明らかにすることである。被解放自由人とは解放された元奴隷であり、その奴隷という社会的に評価の低い出自の故に「ローマ市民」でありながら、政治参加は制限されていた。政治参加の代わりに、被解放自由人に対してオルナメンタ・デクリオナリアと呼ばれる「都市参事会員標章」が賦与されていた。「標章」に関する碑文史料を蒐集した結果、地方都市では29の賦与例を蒐集できた。賦与例を詳しく分析した結果、彼らの多くが都市に何らかの財政的な貢献を果たしていたことが明らかとなった。つまり、ここに「標章」の賦与と都市財政との関係が明らかとなった。さらに分析の結果、父親は「標章」の賦与を受けているのに対して、息子と孫は正式な都市参事会員に就任している例などから、「標章」には次の世代の社会における垂直方向の移動を促進させる効果もあったことが明らかとなった。 都市ローマの外港都市オスティアは、中央政府からの影響が強く、純粋に「地方都市」ではなく、昨年度までの調査では、碑文蒐集の対象地域から除外してきた。しかし、本年度はオスティアを中心に碑文史料を蒐集した結果、4例の「標章」賦与例を確認できた。賦与対象者は被解放自由人であったが、都市への貢献が他の都市のように財政ではなく、国家的な業務に対する貢献が見られた。オスティアは都市ローマに対する食糧供給の観点から、極めて重要な位置にあった。この都市の存在意義はまさに、この点にあると言っても過言ではない。このような都市で、「標章」が賦与された者に、食糧供給と関係してる例が見られたのである。首都への食糧供給は国家的な業務であり、オスティアでの「標章」には、他の都市に見られない特徴があったことが明らかとなった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)