Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.重力崩壊時には自己相似解が重要になるであろうという予想のもとで、ポリトロープガスの重力崩壊を記述する球対称解を調べた。ポリトロープガスでは通常の自己相似解が存在しないことが示されており、これを拡張した運動学的自己相似解と関係すると思われていた。しかし我々の解析の結果、運動学的自己相似性を持った解は存在しないことがわかった。一方、宇宙項のみが存在する場合、運動学的自己相似性を持つ新たな厳密解を発見した。2.時空の微細構造としての非可換性が超高エネルギー宇宙線の飛来に影響を及ぼす可能性を論じるなかで、粒子の速度が重要になってくる。我々は、時空非可換性を備えた典型的なモデルでは、粒子の飛来速度が通常の可換時空の場合とどう異なってくるのかについて調べた。その結果、光速度は可換時空とおなじだが、質量を持つ粒子の速度は違ってくることを示した。3.宇宙初期に重力法則が現在と同じであったことを直接的に示す証拠はなく、とくに重力定数が時間変化していた可能性が指摘されている。このような場合、原始ブラックホールがその情報を持ったまま過去や現在の宇宙に影響を及ぼす可能性がある。我々は数値計算によって、原始ブラックホールによるこのような重力定数の「記憶」とよばれる現象が起こりそうにないことを突き止めた。4.我々の銀河も含めて数多くの銀河の中心には、超大質量ブラックホールが存在することが多くの観測により確認されている。このブラックホールの形成過程は大きな謎であるが、超大質量星の重力崩壊によって形成されたとする説が有力である。我々は、この過程で放出される重力波の計算を数値シミュレーションによって行ない、重力波の波形を得た。このような重力波は2012年観測開始予定のLISA計画において、検出されることが期待されている。この仕事に関しては論文を投稿中である。
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