無機酸化物絶縁性薄膜の電気的および光学的性質に与える欠陥の影響
Project/Area Number |
00J05733
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Waseda University |
Research Fellow |
加藤 宙光 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ワイドバンドギャップ / シンクロトロン放射光 / 時間分解発光測定 / 有機金属化学的気相堆積装置 / Hf_xSi_<(1-x)>O_y膜 / Zr_xSi_<(1-x)>O_y膜 / 電子障壁高さ / 禁制帯内部の電子局在準位 |
Research Abstract |
シリコン酸窒化膜(SiO_xN_y膜)やシリコン窒化膜(SiN_z膜)などのワイドバンドギャップを有する無機酸化物誘電体薄膜は、光透過性および電気絶縁性に優れており、光・エレクトロニクスデバイスの基幹的材料として幅広く利用されている。これらの膜質改善および新規応用を目的とし、欠陥の構造とエネルギー準位の解明、ならびに欠陥が光学的・電気的性質に与える影響を系統的に明らかにする研究を行ってきた。さらに、次世代のLSIデバイス実現のために、ハフニウムシリケート膜(Hf_xSi_<(1-x)>O_y膜)やジルコニウムシリケート膜(Zr_xSi_<(1-x)>O_y膜)といった新材料開発をも同時に遂行した。以下に、研究成果の概要を2つに分けて記載する。 (1)SiO_xN_y膜やSiN_zにおける局在準位の起源および励起電子の緩和過程 SiO_xN_y : H膜およびSiN_z : H膜から観測されるバンド端PLの諸特性から、局在準位の起源および励起電子の緩和過程の解明を行なった。シンクロトロン放射光(SR光)および紫外光ニキシマレーザを用いて測定した両物質の発光および発光励起スペクトルに多くの類似点があることから、発光帯がSi-N結合に関連したバンド端の局在準位に起因することを明らかにした。時間分解発光測定および時間相関単一光子計数法による寿命測定から、励起電子の緩和過程にはnsオーダーのエキシトン的再結合過程とμsオーダーの輻射トンネリング再結合過程の2つの過程が存在することを明らかにした。また、バンド端PLに及ぼすシリコンの未結合手(Si-DBs)の影響を検討した。Si-N結合に隣接する水素の離脱により生成されるSi-DBsの密度N_Dが増大すると発光強度が減少することを明らかにした。この実験結果は、発光中心と消光中心の同のトンネル遷移確率がN_Dと正の相関を有すると仮定して記述した関数に極めてよく一致した。これよりSi-DBsがバンド端発光における消光中心となることを明らかにした。 (2)高誘電率Hf_xSi_<(1-x)>O_y膜およびZr_xSi_<(1-x>)O_y膜の成膜と物性評価 次世代CMOS (Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタのゲート絶縁膜として期待される高誘電率なHf_xSi_<(1-x)>O_y膜およびZr_xSi_<(1-x>)O_y膜の開発を目的に、プラズマを反応促進媒体とした有機金属化学的気相反応堆積装置の開発に成功し、独自の手法で高誘電率を有するHf_xSi_<(1-x)>O_y膜およびZr_xSi_<(1-x>)O_y膜の成膜に成功した。X線光電子分光法を用いて、化学結合状態がシリケート構造であることを確認した他、酸素の1s軌道電子の損失スペクトルから禁制帯幅を、さらに価電子帯スペクトルからシリコン基板との電子障壁高さΦ_eを見積もった。組成比xの増加と共にΦ_eは2.8から1.2eVまで減少した。xの増加とともにΦ_eが急激に減少する原因として、伝導帯下端を構成するHfのd軌道電子が増加するためと考えられる。また、CMOSデバイスが安定に動作するための条件として、Φ_e>〜1.0eVと報告されているが、我々のHf_xSi_<(1-x)>O_y膜は全てこの条件を満たしていることを明らかにした。さらにSR光を用いて紫外-真空紫外域の吸収測定やフォトルミネセンス解析を行なった。発光・発光励起スペクトルおよび発光寿命の組成比x依存性から、xの増加と共に禁制帯中に多くの局在準位が導入されることが分かった。これらの結果は次世代high-k材料を選定する上で重要な情報となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)