Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
質量の大きなクォーコニウムのエネルギースペクトルに対して、量子色力学(QCD)に基づく理論計算は、理論の基本的なパラメータを決定する上で重要である。また、近い将来建設がきたいされる次世代線形加速器実験におけるトップクォークの物理をしらべるうえでも、量子色力学における束縛状態の理論計算が必要である。私は、重いクォーコニウム系の中のクォークと反クォークの質量核からのはずれ具合(オフ・シェルネス)がクォーコニウムのエネルギーレベルの摂動計算に含まれる赤外のリノーマロン(renormalon)にどのような影響を与えるかについて研究した。オフ・シェルネスをあらわす指標がクォークの質量とQCDのスケールの積よりも大きいときには、摂動的QCDで計算されるエネルギーレベルにおけるリノーマロンは十分に抑制されることを示した。このとき、残ったQCDスケールの4乗のリノーマロンはグルーオンの凝縮による寄与と同じ程度になることを示した。最近、クォーコニウムの1S状態のエネルギーレベルの計算について量子色力学の結合定数の5次のフルな補正が計算された。私は、この補正が近似的こ大きなβ_Oの近似でよく記述できることを指摘した。この性質がさらに高次の補正にも成り立つという仮定のもとに、私は、何故トップクォークのポール質量が将来の電子陽電子コライダーでQCDスケールよりも決まらず、一方MS-bar質量は40MeVの精度で決定することができるのか議論した。また私は、今まで見落とされていた、クォーコニウムの1S状態のエネルギーレベルの計算における、量子色力学の結合定数の4次とクォークの質量の1次の積の次数の補正を計算した。これらの補正は、クーロン・グルーオン交換で1ループの真空編曲の挿入からの寄与である。
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