Project/Area Number |
00J05824
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
片山 文雄 東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | コモン・マン / 実践知 / ピューリタニズム / Doing Good / 全体 / 市民社会 / ネーション / 世俗化 |
Research Abstract |
本研究は、ベンジャミン・フランクリンの特殊「コモン・マン」的な社会・政治思想の特質を把握しようとした。彼は体系的理論家ではなく、建国期アメリカの一般人に共有されていた生きた実践知の体現者である。本研究は、彼の実践知を理解するため、フランクリンの「主体の構造」に遡って彼の思想を把握する方法を採用した。 1.まず主にM・ウェーバーのプロテスタンティズム論を参照し、フランクリンの「主体の構造」をピューリタン的なそれとの連続性において捉えうる(Doing Good to "the Whole"をする自己を確証する主体、というフォームを共有)ことを確認した。また、このDoing Good理念がフランクリンの社会的・政治的な認識・実践を決定的に方向づけていることを示した。具体的には(1)Doing Goodする力を増すために多様な自発的結社の自律的・自発的活動を促す。(2)中産的生産者層の職業労働をDoing Goodとして捉え、そのネットワークの上につくられる市民社会=「ネーション」をあるべき「全体」とみる。以上よりフランクリンが、Doing Goodする人々ならば地位も人種も関係なく平等に「全体」の構成員とみなしたことが示された。フランクリンにおける「コモン・マン」の世界・意識の成立である。2.更に、フランクリンにDoing Good理念を直接に与えたピューリタン聖職者コットン・マザーを分析し、(1)フランクリンの「主体の構造」はマザーのそれともフォームを共有していること、しかし(2)マザーからフランクリンへのDoing Good理念の継承は、「全体」イメージがよりダイナミック、平等、自律的になるという変容を含むこと(「世俗化」=『近代』化)を示した。3.最後に、「コモン・マン」の形成者としての政治的実践((1)「立場の相互交換」によって公正さを学習させる、(2)『自伝』で多様なDoing Goodを一般人に提示し、それを模倣させる)が彼に独自の「コモン・マン」的性格の集中的表現であることを確認した。
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