Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
反射型液晶ディスプレイの超高画質化を実現する事を目的として、反射型LCDへの入射光制御の理論解析を行うと共に光拡散フィルムの設計方法の確立を行った。反射型液晶ディスプレイは液晶パネルに入射した光を用いて表示を行う。しかし、液晶パネルの透過率が約10%と極めて小さいことから、紙の印刷物のように入射光を完全拡散させると十分な明るさを得ることができない。これに対し従来、反射型LCDの高反射率化の方法として拡散光をある特定の観察角度範囲にのみ拡散させる方法が提案されているが、この方法では入射光角度の変化に対して観察角度範囲が変化することから視認性が低下するという問題を有していた。そこで本研究では、このような問題を解決する新たな光拡散の方式を考案し、それを実現するための光拡散フィルムの設計法について検討を行った。この結果、次のような成果を得た。1.入射光角度の変化に対する観察領域の変化を抑えるためには拡散角度領域に対する観察角度領域の割合を大きくすることが必要である。また視野角の変化に対する反射率の変化を抑えるためには拡散角度領域における拡散強度分布を均一にすることが必要となる。そこで本研究では光拡散フィルムの拡散角度領域を制御する設計法を新たに考案し、その拡散領域、および拡散分布の最適化について検討を行った。この結果、光拡散フィルムの法線方向を0度として0度から90度を拡散領域(観察領域)、-90度から0度を非拡散領域と設計し、拡散領域における拡散強度を均一とすることで入射光角度および観察角度の依存性が少なく明るい表示が実現できることを明らかにした。本研究による光拡散フィルムを反射型LCDに用いることより明るさ、視野角、視認性を飛躍的に向上させることが可能となる。この結果、反射率の70%以上(MgO標準白色面比)と明るく、視野角70度以上で観察角度依存性がほとんど無い超高品位な反射型液晶ディスプレイを実現した。
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