共有と共生のメディア・リテラシーの研究―障害者のCMCコミュニティをとおして
Project/Area Number |
00J06193
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
柴田 邦臣 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | メディア / リテラシー / CMC / 障害者福祉 / 社会参加 / カナダ / デジタル・オポチュニティ / ユニバーサル・デザイン |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年である。そのため、以下の2つに絞って研究活動をすすめた。 第1に、これまでの障害当事者のコンピュータ・メディア利用に関するフィールド・ワークを継続し、より深化していった。まず、実際に障害当事者が利用しにくいコンピュータを自らの工夫によって獲得し、利用していく過程を評価し、それをどのように促進すればいいのかについて検討した。さらに、研究代表者も加わって当事者と共に、具体的に3つのCMCコミュニティを設置して参与観察をすすめ、その効果と影響について当事者/非当事者に関係なく意見交換することで、当事者性に配慮するかたちで、慎重かつ詳細にフィールド・ワークをおこなった。 第2に、これまで3年に渡って続けてきた研究成果を整理し、まとめ上げる作業をおこなった。まず、社会学・社会福祉学を主分野とする査読付きの学術雑誌に投稿し、学術論文として掲載された。また、本研究は専門の枠内にとどまるものではなく、より学際的、また国際的であるべきであろう。そこで、類似する学会や国際会議でも口頭発表やポスター発表をおこない成果を問うとともに、情報・意見交換をすすめた。さらにそれらの仕上げとして、2つのことを予定している。 まず、今までの成果をまとめ上げたものを本として公刊する準備をすすめている。単著としてとともに、共通する問題意識をもった研究者との共作も予定している。次に、本研究の成果を問題の領域に還元する準備である。「障害」という問題に関する成果は、どんなものであれまずその問題の当事者に帰さなければならない。そこで本研究の成果を生かし福祉行政への提言をおこなうと共に、その結果構想されたモデルを、当事者の方と具体的に実現させるネットワークの準備をおこなっている。 本研究で明らかにしたように、コンピュータ・メディアは明らかに、障害当事者の社会参加に貢献しつつある。しかし、社会問題としての「障害」は、コンピュータが普及すれば、すべての端末がユニバーサル・デサインになれば、そしてデジタル・オポチュニティなるものが到来すれば、それでよいという単純なものではない。私たちが構想するべき、多様な主体が「共生」する社会が、そのように実現しないことも、本研究により明らかにすることができた。しかし、それでは実際に、共に同じ社会に生きようとする私たちに何ができるのか、それをどのように学術的に考えればいいのかについては、本研究後にも、議論され解明されなければならない課題が山積している。それはまさに、「障害」という社会問題の深刻さの現れでもあるだろう。ただし、それを社会問題として、まず当事者の利益を重視する観点から捉え、最後まで考え続ける作業の必要性こそが「共生」のためにもっとも重要な条件なのであり、本研究においてもっとも強調する価値のある成果なのではないかと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)