Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
アクチン関連タンパク質(Arp)はクロマチン構造変換に関わるATP依存的クロマチンリモデリング酵素(ADCR)複合体やヒストンアセチル化酵素(HAT)複合体に最も広く存在する構成因子の1つである。ヒトおよびマウスの細胞核に局在するArp4サブファミリーの2つのアイソフォームArpNα,βのうち、ArpNβは哺乳類SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体、P-BAF ADCR複合体、Tip60 HAT複合体、p400 SWI/SNF様複合体、c-Mycコアクチベーター複合体の構成因子であることが報告されている。一方、ArpNαはArpNβと94%の相同性を示すが、ArpNβと異なり脳で特異的に発現が検出されている。ArpNαを含んだタンパク質複合体についてはこれまで報告がなかったが、我々は免疫沈降法によりArpNαもArpNβと同様、哺乳類SWI/SNF複合体の構成因子であることを明らかにした。ArpNαはN末端40-82アミノ酸領域でのみArpNβとの相同性が低いことから、この領域がArpNαに特異的な機能に寄与していると予想し、two-hybrid screeningによりこの領域と相互作用するタンパク質として転写コリプレッサーCtBP1を同定した。哺乳類SWI/SNF複合体はglucocorticoid receptor(GR)による転写活性化に必要であるが、細胞内で発現させたArpNαはCtBP1依存的にGRの転写活性化能を抑制した。一方、このような転写活性化能の抑制はArpNβを発現させた場合には観察されなかった。このことから、脳特異的なArpNαを含むSWI/SNF複合体がArpNβを含む複合体とは異なった遺伝子の発現制御を行うことで、神経細胞の分化や機能に関与している可能性が示唆された。
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