Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
黄色ブドウ球菌の産生する白血球崩壊毒素ロイコシジン(Luk)はLukS、LukFからなり、ヒト及びウサギ白血球を特異的に崩壊する。崩壊活性の発現にはLukSのリン酸化、及び両成分による膜孔形成が必須である。本研究はLukの白血球崩壊機構の全容を解明することを目的とする。そこで最終年度である本年度は以下のことを行った。1.LukS reseptorのスクリーニング前年度までに酵母を用いたtwo-hybrid systemにおいてLukSのリン酸化部位を含むC末端領域をプローブとして、このLukSに結合性を示すクローンをヒト末梢血白血球cDNA libraryからスクリーニングした結果、toll-like receptor 4の細胞外ドメインに結合する膜表層タンパク質MD-2を取得した。MD-2をコードするcDNAをpET-22b(+)にクローニングし、大腸菌を形質転換し、C末端にHis-tagを付加させたMD-2(MD-2-6His)を発現させた。現在、MD-2-6Hisを精製し、LukSとのin vitroでの結合を検討中である。2.Lukのヒト白血球崩壊活性に対するraftの関与の検討LukSのヒト白血球の認識にGM1が関与すること、及び白血球に結合したLukSが非イオン性界面活性剤によって可溶化されないことから、Lukのヒト白血球崩壊活性に細胞膜マイクロドメインraftが関与していることが示唆された。そこで、raftを崩壊させるmethyl-β-cyclodextrin(MBCD)の効果を検討したところ、MBCDによってLukの活性が阻害された。また、毒素処理したヒト白血球をBrij 35で可溶化した後、lysateをショ糖密度勾配法で分画した結果、毒素成分がraftの含まれる画分に分画された。以上の結果、Lukのヒト白血球崩壊活性にraftが関与している可能性が強く示唆された。