Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
実験室での超低エネルギー核反応における標的核の束縛電子による遮蔽効果の研究をおこなった。これまでに開発した理論的枠組み、電子の時間発展と散乱核の相対運動を自己無撞着に決定する散乱理論を用いて、実際に実験が行なわれたいくつかの系について、理論的な解析を行なった。古典的に許される領域のみを記述の対象とするこれまでの同様な研究に比べ、我々の理論は、虚時間法を用いてトンネル領域における振る舞いもあからさまに取り扱うところに大きな特徴がある。その結果、我々の方法は特に、古典的転回点において電子波動関数の励起状態が混じるような場合に、これまでの古典的に許される領域のみを考慮して、転回点でのポテンシャルの低下を遮蔽効果、遮蔽エネルギーとみなす手法に比べ大きな遮蔽エネルギーを得ることが分かった。この結果は数値的のみならず解析的にも示すことが出来る。ここで古典的転回点において電子波動関数の励起状態が混じるような場合とは、系の対称性から、転回点で電子波動関数の基底状態と第一励起状態が混じる場合や、転回点に到達するまでの間に入射核の運動により電子波動関数が励起される場合を言う。この結果は数値的のみならず解析的にも示すことが出来る。また、我々の方法から得られる結果は、平均場理論を用いずに、古典的転回点でのそれぞれのチャネルの存在確率を評価し、その後でそれぞれのチャネルからのトンネル過程の確率を評価することで透過確率を決定する方法と等しい結果を与えることが分かった。イタリア カタニア原子核研究所にて平成15年2月12日より平成15年2月28日まで研究に従事
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