Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度(平成14年度)も引き続き近赤外吸収特性を有する新奇金属錯体の合成およびその溶液(媒体)中における吸収スペクトル特性の調査を行った.(1)ジチオレン配位子1,3-二置換イミダゾリジン-2,4,5-トリチオンを有するd^8遷移金属錯体[M(R_1,R_2timdt)_2]様々な溶媒特性を有する有機溶媒中における吸収スペクトルを測定した結果,ジクロロメタンやクロロホルムのような中性溶媒(非配位性,非プロトン性かつ比誘電率ε_r<10)中では,1000nm付近にモル吸光係数ε【approximately equal】80,O00M^<-1>cm^<-1>の巨大な吸収が出現する.一方,配位性溶媒であるピリジン溶液中では,全く近赤外吸収は観測されなかった.これは,ピリジン分子が平面正方形錯体の錯体平面に対して上下に配位するためであると考察した.また,高誘電率溶媒であるDMF溶液中では,イオン性錯体の安定化が推進力となって,無電荷錯体が還元されることが明らかとなった.ヒドロキシフェニル基を有する錯体は,塩基の添加によって近赤外吸収が消滅することを見出した.(2)o-フェニレンジアミン誘導体配位子を有する白金(II)錯体界面活性剤ミセル水溶液中における錯体の近赤外吸収スペクトルのpH依存性を調査した.低pHでは近赤外吸収は全く観測されない一方で,中性〜アルカリ性にかけて急激に近赤外吸収が出現した.近赤外吸収の発現および消滅には,錯体の配位窒素原子上のプロトン解離・付加反応だけでなく,配位子中心における酸化・還元反応も関係していることを示唆する実験結果が得られた.また,近赤外吸収に対して顕著な置換基効果が現れることも明らかにした. 以上から,世界で初めて近赤外吸収金属錯体の溶液中における環境認識プローブとしての可能性を見出した.現在,上記研究によって得られた知見に関する論文を鋭意作成中であり,今年(平成15年)中に,3報((1)-1報,(2)-2報)報告する予定である.
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