Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は最終年次であり、過去二年間の実験データを基に、岩石熱水反応時の生体必須元素の挙動モデルを検討した。さらに、モデル化を通し不足しているデータの補足実験を行った。岩石、堆積物の熱水変質の程度と生体必須元素の分布状態を調べ熱水中の生体必須元素の起源及び濃度をコントロールするファクターを明らかにすることが目的である。伊豆小笠原弧水曜海山カルデラ内の熱水噴出孔直下から昨年度、掘削した岩石試料及び熱水性堆積物、微生物試料を用いて、薄片の顕微鏡観察、C, H, N, S元素、主要及び微量元素の定量分析、EPMAによる岩石内での元素分布分析を行った。熱水変質の程度を明らかにする為に、掘削岩石、熱水性堆積物から粘土鉱物を抽出しX線回折法によって同定した。また、粘土鉱物の酸素、水素同位体分析をアメリカ・ネバダ大学と共同で行った。抽出した粘土鉱物については、赤外吸収スペクトル分析を行いアンモニアの検出を試みた。極微少量の含有窒素試料中の窒素同位体分析は、東京都立大学と共同で行った。今回は、生体必須元素のうち、リンと窒素に注目している。その結果、リン、アンモニアは、噴出している熱水中には殆ど含まれていないが海底熱水域の地下では(1)著しく熱水変質を受けた岩石中において、リンは硫化鉱物と共にアパタイト鉱物として熱水から沈殿している事(2)アンモニアは、粘土鉱物の層間イオンであるカリウム交換し、熱水中から粘土鉱物へと取り除かれている事が明らかにされ、海底熱水系地下での好熱性微生物の生息条件を規定する判断材料が得られた。また、海底熱水系でのアンモニアに関する窒素同位体組成データは本研究が最初の報告例である。以上の成果を、地球惑星科学連合合同大会及びアメリカ地球物理学会において発表し様々な研究者と議論を行った。また、以上の成果は国際誌に論文投稿中である。
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