Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
非可換ゲージ理論であるヤン・ミルズ理論は、低エネルギーのQCDにおけるクォーク閉じ込めの現象を理解する上で重要である。この理論において、ゲージ場のBRS不変な質量次元2の複合演算子を考えると、この真空凝縮が非摂動的に得られる時それが物理的に意味を持つ、つまりBRS不変になる事が分かっている。これはグルーオン及びゴーストの質量が動力学的に現れる事を意味する。つまりQCDの真空が双対超伝導状態となる事を示唆し、クォーク閉じ込めの機構の説明に重要な役割を果たす。そこで我々はヤン・ミルズ理論において非摂動繰り込み群の手法を用いて質量次元2の真空凝縮の解析を行なった。2つのゲージ・パラメータを持つ一般的なゲージの場合について、プロパゲーターに赤外と紫外のカットオフを導入し、ウィルソン繰り込み群の手法を用いて繰り込み群方程式を求め、その電子計算機を用いた数値的な解析を行うことで、赤外領域での質量次元2の真空凝縮の値を数値的に求めた。カットオフの導入により理論のBRS不変性が壊れるが、修正したスラフノフ・テイラー恒等式を満たすよう繰り込み群方程式の解を選ぶことで、赤外と紫外のカットオフを取り去る極限で解はBRS不変性を回復する。その結果、質量次元2の真空凝縮<A・A>の非摂動的に自明でない解が得られた。次の段階としては、ゴーストの真空凝縮<C・C>を含む場合を扱うために赤外カットオフを取り去らない一般の場合への拡張が考えられる。
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