Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
セイヨウナシの果肉硬度の低下および肉質の変化との関係について詳細に調査するため,エチレン生成を伴って急激に軟化し,肉質はメルティング質に変化するセイヨウナシ'ラ・フランス',多量のエチレンを生成するにもかかわらず軟化はほとんどみられないチュウゴクナシ'鴨梨',および本来,成熟エチレンを生成せず果肉軟化を示さないが,継続的なエチレン処理によって,メルティング質とは異なった硬度低下がみられるニホンナシ'二十世紀'の3種のナシ品種を用いて,遺伝子発現,細胞壁多糖類の分解様相を比較した.その結果,昨年報告した2つのPG遺伝子の発現特性とその基質であるペクチンの分解様相に関連性が見られた.果実成熟中,PGの2つのイソ遺伝子のうちPC-PG1は'ラ・フランス'のみで,PC-PG2は'ラ・フランス'と'二十世紀'で発現がみられた.しかし'鴨梨'では,両遺伝子の発現はともに検出されなかった.ペクチンの低分子化および可溶化の程度は,'鴨梨',プロピレン処理を行った'二十世紀','ラ・フランス'の順に強くなった.また,還元糖法および粘度解析による酵素活性の測定比較から,PGの活性タイプの中でも,多糖類をランダムに切断する,endo型の活性が3種のナシ果実間で異なり,これがPG遺伝子の発現特性の差異と一致することを示した.また,各ナシ果実の水溶性画分に含まれるペクチンのメトキシル化度を測定したところ,硬度低下の見られた'ラ・フランス'とプロピレン処理した'二十世紀'に違いは見られなかった.これは,ペクチンの分解がペクチンメチルエステラーゼによる脱メチル化よりもむしろPGの働きに影響を受けていることを示唆する.以上より,PGによるペクチンの分解がセイヨウナシ果実の特徴的な肉質の変化に重要な役割を呆たすことが示唆された. また一方で,昨年度単離し,セイヨウナシの成熟に伴った発現量の増加を確認している2つのキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET)の発現特性を,3種のナシ果実で調査した.その結果,どちらの遺伝子も全ての果実で比較的強い発現が検出され,ナシ果実の軟化との関連性は見られなかった.
|