Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度の北海道産カワヤツメ繁殖期において、ヤツメウナギ初期胚に遺伝子を導入し発現させる系を世界で初めて確立した。LacZ、GFPなどのレポーター遺伝子をウイルス由来のプロモーターあるいは顎口類のアクチン遺伝子の転写調節領域につなぎ、ヤツメウナギ受精卵に注入することにより、胚の様々な領域で発現させることに成功した。発現は注入後2日目から始まり一ヶ月以上持続した。発現パターンはモザイクであり、発現している細胞数は個体によって異なる。注目すべきことに、メダカ筋肉アクチン遺伝子の転写調節領域に制御されたGFPはヤツメ胚内においても、体節由来の骨格筋、頭部の筋肉、および心筋に特異的に発現した。このメダカアクチン遺伝子の制御領域については詳しい機能解析がなされているが(日下部ら、1999)この領域の機能に相当するものが無顎類を含む脊椎動物の共通祖先において、すでに確立していたことが示唆された。以上の内容をまとめた論文が受理され現在印刷中である。またヤツメウナギ咽頭胚において、胚の一部に外来遺伝子を注入した直後に電気パルスをかけることにより、特定の組織に限定して遺伝子を導入することに成功した。この手法により標識された細胞の移動や分化を生きた胚のなかで観察することができた。これらの遺伝子導入技術はこれまで、主にモデル動物として確立した系で使われてきたが、本研究は進化の上で興味深い野生動物に応用することができた。以上のような技術により、ヤツメウナギ胚発生における細胞の挙動を詳細に記述することができる。また、他の動物の胚発生において重要な遺伝子をヤツメウナギ胚に発現させ、進化における遺伝子の機能変化および遺伝子カスケードの変化を解析できると期待される。
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