Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度までにマウス小腸由来の内分泌細胞株STC・1において、カゼインが細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こすことを見出した。そのカルシウムの供給源を検討するため、L型カルシウムチャネルブロッカーDiltiazemの影響を調べた。Diltiazemで前処理されたSTC・1細胞において、α・カゼインによる細胞内カルシウム濃度上昇は有意に抑制され、このことから消化管内分泌細胞はα-カゼインを認識して細胞外からカルシウムを導入していることが示唆された。タンパク質上のグアニジル基が消化管で認識されることを示唆する結果をもとに、グアニジル基を有するアミノ酸であるホモアルギニンの投与に対する膵臓外分泌機能の応答を検討した。高コレシストキニン(CCK))血症のモデルとして使われる胆膵液除去ラットおよび正常ラットを外科手術により作製し、1週間の回復期間後にホモアルギニン溶液(10mg/rat)を投与し、投与前後の胆膵液を採取して膵酵素分泌を観察した。十二指腸へのホモアルギニン投与は両ラットに有意な変化を引き起こさなかったが、腹腔へのホモアルギニン投与により胆膵液除去ラットにおいてのみ、膵外分泌抑制作用が見られた。胆膵液除去ラットでのホモアルギニン長期投与の影響を調べるため、25%カゼイン、45%カゼイン、45%カゼイン+ホモアルギニン(19g/kg diet)を含む飼料を4日間与えたところ、45%カゼイン食により誘導された膵臓重量、膵酵素含量の増加は、ホモアルギニン添加により抑制された。胆膵液除去ラットにおける膵酵素の基礎分泌レベルの上昇および、高タンパク質食摂取による膵外分泌機能更新は血中CCK濃度上昇が関与すると考えられているので、ホモアルギニンは胆膵液除去および高タンパク質食により上昇したCCKの作用を血中で阻害する作用を持つこと、即ちCCKレセプターアンタゴニストとしての作用を持つことが示唆された。
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