ウシ胎盤における細胞外マトリックスと成長因子の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
00J06815
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生物資源科学
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Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
加藤 ゆうこ (森 ゆうこ) 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | bovine uterus / pregnancy / trophoblast / MMP / TIMP |
Research Abstract |
本年度は胎盤モデルにおけるマトリクリンを検討するため、マトリックス分解機序の解明を中心に実験を行った。 1.培養ウシトロホブラスト(TB)が分泌するECM分解酵素 培養条件下において、ウシTBは接着伸展した単層コロニーとtrophoblastic vesicleの2形態をとる。培養3日目に前者を接着型(ATB)、後者を非接着型(FTB)として分別し、無血清培地にて72時間の培養を行った後、それらの培養上清を回収しゼラチンザイモグラフィーおよびリバースザイモグラフィーに供した。その結果、FTBはmatrix metalloproteinase(MMP)-2およびMMP-9を分泌しているのに対し、ATBはMMP-9のみ分泌しておりその活性化量はFTBよりも高かった。またザイモグラフィーの活性阻害実験から、ATBはゼラチンを分解する二価金属イオン非依存性の酵素(分子量約30kDa)を分泌していることが明らかとなった。一方、リバースザイモグラフィーの結果、培養ウシTBからMMPを阻害するtissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP)は検出され得なかった。しかしながらATB、FTBともにTIMP-1およびTIMP-2のmRNAは存在していた。以上の結果から、TBには高い基質分解能が備わっており、これらが胎盤分葉形成に深く関与するが、基質の存在やその種類によってTIMPの転写が行われることも示唆され、このことがTBの浸潤制御につながるものと考えられた。 2.妊娠ウシ子宮内膜が分泌するECM分解酵素 妊娠約60日齢ならびに140日齢のウシ子宮内腔分泌物をゼラチンザイモグラフィーおよびリバースザイモグラフィーに供した。その結果、60日齢の子宮内膜にはMMP-2、-9および分子量約30kDaのMMP(ストロムライシンもしくはマトリライシン)が検出された。140日齢の子宮内膜においては、MMP-2およびMMP-9が検出されたが60日齢で見られた分子量約30kDaのMMPは検出されなかった。また、MMPを阻害するTIMPは140日齢の子宮内膜に検出されたが60日齢では見られなかった。これらの結果から、胎盤形成期である妊娠60日齢の子宮内では数種のMMPがマトリックス分解に関与する一方、妊娠中期である140日齢の子宮内ではTIMPが存在し極度な分解を抑制していることが示唆された。 3.TBの癌化についての検討 上述のようにTBは高い基質侵食作用を備えているが、これまでに培養ウシTBが癌化しているか否かは検討されずにいた。そこでTBの3次元培養を0.8%アガロースゲル内にて行い形態観察を行った。また、単層培養TBの染色体標本を作製し核型判定を行った。その結果、アガロースゲル内培養ではTBはマトリゲル内培養のときと同様に当初trophoblastic vesicleの形態をとったが、培養3日目にはvesicleは細胞の壊死により収縮を始めており、その後細胞の壊死は進み培養6日目には全て死細胞となっていた。また核型判定の結果、染色体数の異常は認められなかった。さらに非癌化細胞のマーカーである抗VI型コラーゲン抗体の染色結果も陽性であった。以上のことから、本研究に用いているTBは癌化しているものではなく、高い基質侵食性はTB本来の特性であると結論できた。
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Report
(1 results)
Research Products
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