Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまで分子設計に基づきカルボニル基の二つの非共有電子対に二つの金属が同時に配位するルイス酸は、当研究室で開発された二点配位型金属ルイス酸以外ほとんどない。その二点配位型ルイス酸の化学について、その概念を一般化することにより本質的な理解をすべく研究を進めてきた。すでにオレフィン重合反応における助触媒MAOの役割の解明を通じ、Al-O-Al構造の二点配位型ルイス酸としての可能性を見いだしている。この知見を拡張するため、前年に引き続きアルミニウム以外の金属(M)を用いたM-O-M構造を有する二点配位型ルイス酸の創製に着手した。種々検討の結果、ルイス酸中心としてチタン原子を用いM-O-M構造を構築し、かつ不斉源として光学活性ビナフトールを導入した新規光学活性ルイス酸を創製し、対応する従来型のルイス酸との比較を行った。その結果、アルデヒドの触媒的不斉アリル化反応において、従来型ルイス酸と比較して、明確にM-O-M構造に由来すると思われる極めて高い反応性・選択性を示すことを見いだした。また活性化様式に対するより直接的な知見を得るため、これまで用いてきたNMR等の手法に加え、錯体のESI-MS測定についても試み、触媒についての重要な知見を得た。以上の結果はアメリカ化学会誌に論文掲載された。さらにこれらの結果を系統立てて、類似の触媒的不斉合成反応にも適用可能であることも分かり、これに関連した結果は近日中に論文2報にまとめ発表する予定である。
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