Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
平成14年度は、採用期間の最後にあたる年度であるため、観測だけでなく投稿論文原稿の執筆、投稿も行った。既に印刷されたもの、または印刷中のものについては、研究発表の欄に記載してある。その他に現在1報が審査中、3報を投稿準備中である。また、14年度には、2001年に観測を行った、雨龍地方演習林において8月22日〜29日の間観測を行った。この観測では、2001年の観測で用いたアニュラー・デニューダー・サンプリング・システム(ADSS)に改良を加え、感度を約2.5倍に向上させた装置を用いた。さらに、今年度より導入されたディファレンシャル・モビリティー・アナライザー(DMA)によるエアロゾルの粒径分布も同時・同地点で観測した。その結果、ガス状の生物起源半揮発性有機化合物(SOCs)が気温や湿度などの気象条件の変化によってエアロゾル相へ移っており、その移行の過程には少なくとも2種類あることがわかった。1つは、既に存在しているエアロゾルへの吸着によるエアロゾル相への移行で、これは観測された全ての生物起源SOCsに共通した移行過程であった。さらに、水溶性が大きなSOCsに限っては大気中にあるエアロゾル中の水相へ溶解することによってもエアロゾル相へ移行していることがわかった。また、今回の観測は1週間と、2001年の観測に比べて期間が長かったため、新たな考察が可能となった。検出された生物起源SOCsには、それぞれまったく異なる生成過程や起源を持つものが含まれているが、それらのガス相における濃度変化の傾向は極めてよく一致しており、気温と湿度によってほぼ説明可能であることがわかった。このことから、森林大気中のガス状生物起源SOCs濃度は、ソース強度の変化というよりはむしろ揮発と除去によって規定されているということが強く示唆された。このことは今後の研究・観測によってより明らかにしていきたいと考えている。
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