Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、物質表面のスピン状態を観測できる交換力顕微鏡(Exchange Force Microscope : EFM)用の最適なプローブの開発を目的としている。今年度はその基礎研究として試料からの局所的な漏えい磁場を定量的に測定することが可能な走査型磁気抵抗効果顕微鏡(Scanning Magnetoresistance Microscope : SMRM)用プローブの改良およびその空間分解能・感度の評価を行った。昨年度までのプローブの試作およびその評価をうけ、リード電極部の材料の改善・4端子化、作製プロセスの最適化を実現することで、SMRM用プローブであるMR素子を搭載したカンチレバーを歩留まり良く作製することを可能にした。また、MRセンサのアスペクト比を変えることによるMR特性の違いについても検討した。さらに作製したプローブを市販のプローブ顕微鏡ユニットに搭載し、磁性ガーネット表面からの漏えい磁場のマッピングを行った。取得した像からプローブの空間分解能と磁場感度を見積もると、5μm×1μmというMR素子サイズのプローブを用いた場合、空間分解能は約1μm、磁場感度は数Oe程度であることがわかった。プローブの空間分解能を改善するにはMRセンサの微細化が必要であり、現行の作製プロセスを用いても微細化(〜100nm)は容易に達成できる。現在採用している異方性磁気抵抗素子(Anisotropic Magnetoresistive sensor : AMR sensor)を用いた場合、素子を微細化することで100nm程度の空間分解能が達成できると考えられる。さらに高感度なスピンバルブ素子を磁気センサとして搭載すれば、さらなる高分解能化が実現できる。数10nm程度の分解能が達成されれば、磁気抵抗素子を搭載したカンチレバーが交換力顕微鏡用の有力なプローブになると考えられる。
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