Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は紅色光合成細菌を用いて、光合成効率の制御機構を分子レベルで解明することを目的としている。昨年度までの研究で、光合成遺伝子の発現を抑制する転写因子PpsRは酸化的条件下で分子内ジスルフィド結合を作り、結果としてDNA結合能を上昇させることが明らかとなった。また別の転写因子AppAは酸素と青色光依存的にPpsRの転写抑制能を不活化させることがわかった。本年度はこのAppAの抗転写抑制作用がどのようなメカニズムで行なわれているのかを明らかにすることを目標に研究を進め以下の結果を得た。1.AppAタンパク質のフラビン結合ドメインのみを大腸菌で発現させ精製する手法を確立した。精製したこのフラビン結合ドメインを溶液多次元NMR法により解析し、青色光吸収に伴いフラビンと21番目に保存されているチロシンとのπ結合を介した相互作用が、このドメインのフォトサイクル反応に重要であることが明らかとなった。またこのフォトサイクル反応において、このドメインは構造変化というよりはむしろダイナミクス変化をおこし、それが自身の活性制御に重要であることを明らかにした。2.AppAは青色色素としてフラビンを結合しているが、酸素を感受する補助因子は明らかではなかった。様々な組み換えタンパク質を調べたところ、AppAは鉄イオウクラスターを持っていることが明らかとなり、これが酸素感受性に重要であることが明らかとなった。
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