米国南部における地域開発と環境問題に関する環境社会学的研究
Project/Area Number |
00J07348
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Research Fellow |
原口 弥生 東京都立大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 環境社会学 / 環境正義,環境的公正 / 環境格差 / アメリカ南部 / 地域社会 / 環境運動 / 石油化学産業 / 人種 |
Research Abstract |
平成14年度は、「米国南部における地域開発と環境問題に関する環境社会学的研究」の最終年度であり、3年間の総まとめを行った。アメリカで近年、注目されている環境正義問題は、主に有害廃棄物をめぐる人種間の環境格差が問題とされてきた。環境リスクの配分にみる不平等が注目されているが、これは地域の経済開発のなかで発生していることであり、環境政策や環境NPOの動きだけでなく、地域社会における社会過程についても調査を行った。地方分権のなかで財源を連邦政府に依存できない州政府や地方政府は、独自の経済開発政策のなかで企業誘致を積極的に進めている。アメリカ南部の石油化学産業の発達は、一部の住民への環境負荷を犠牲のもとに成立しており、彼ら/彼女らは「地域内のマイノリティ」としてカテゴリー化される。ルイジアナ州セント・ジェームズ郡では、日系企業の塩化ビニル製造工場進出に対して反対運動が展開されたが、地域エリート層の利害関心と一致しない「地域内のマイノリティ」の意見表出は無視され、州政府や産業界は住民運動にたいして抑圧的な行動をとった。地域内や州内の運動だけでは、環境悪化の原因となる工場の進出阻止を達成することは困難であったが、環境正義政策の立案を模索していた連邦環境保護庁が反対運動を支援することによって、最終的に住民運動は工場進出の阻止に成功した。日本では、高度経済成長期以降、国家誘導型の経済開発が推し進められ、国と地方は一体であった。しかし、アメリカの場合には、連邦政府と州政府の役割にはズレがみられ、州は基本的に保守主義であるのにたいし、環境正義という理念を政策として具現化する役割を連邦政府が担っていた。その連邦政府にたいして環境NPOが働きかけることで、クリントン政権下では環境正義政策が前進したことを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
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