Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度は,糸魚川-静岡構造線の鮮新世以降の活動史の高精度復元のために,長野県北部の大峰帯の鮮新〜下部更新統の古地磁気学・岩石磁気学的な研究を主に行った.また,長野県の飛騨山脈南部の中期〜後期更新世の河成段丘の編年を行った.さらに,風成層(ローム層)の古地磁気の有効性を確認することを目的とした青森県八甲田火山周辺のローム層の古地磁気測定を行った.これらの研究成果は,堆積学研究会,地球惑星関連合同大会,日本第四紀学会,日本地質学会などで発表し,現在複数の雑誌に投稿中および投稿予定である. 大峰帯の鮮新〜下部更新統の古地磁気学・岩石磁気学的な研究は,以下のようにまとめられる.小谷-中山断層の近傍にある向斜の両翼から,太郎山安山岩および一宇田溶結凝灰岩層の試料を採取し,段階交流消磁実験と熱消磁実験を行った結果,太郎山安山岩の古地磁気磁化方位はリバースであった.一宇田溶結凝灰岩層の古地磁気方位は,新鮮な試料ではリバースであったが,緑色に変質した試料では段階熱消磁実験によってノーマル成分とリバース成分が認められた.1方向のIRMの段階着磁実験,3方向のIRMの段階熱消磁実験およびVSMによる熱磁気分析によれば,一宇田溶結凝灰岩層に含まれる強磁性鉱物はマグネタイトあるいはチタノマグネタイトである.MPMSによる低温磁気特性分析によれば,リバースの試料にはチタノマグネタイトのみ,2成分が認められた試料にはマグネタイトとチタノマグネタイトが認められた.太郎山安山岩に含まれる強磁性鉱物は,高温酸化したチタノマグネタイトおよびマグヘマイトである. 太郎山安山岩と一宇田溶結凝灰岩層はリバースの初生磁化を持つ.一宇田溶結凝灰岩層のノーマル成分は熱水変質による2次的な磁化であり,低温成分はチタノマグネタイトの再加熱による2次的な熱残留磁化,高温成分は新たなマグネタイトの晶出による化学残留磁化である.太郎山安山岩と一宇田溶結凝灰岩層のリバースの古地磁気は松山逆クロンに,一宇田溶結凝灰岩層のノーマルの古地磁気はオルドバイ正サブクロンに対比できる.
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