Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
立方ペロブスカイト型Mn酸化物R_<1-x>A_xMnO_3(R:3価の陽イオン,A:2価の陽イオン)はホール濃度xによってA型反強磁性→強磁性→CE型反強磁性→A型反強磁性→C型反強磁性→G型反強磁性と様々な磁気構造を示すが,これは二重交換相互作用,電荷秩序,およびe_g軌道の軌道秩序の相互作用によってもたらされていると考えられている。今回の研究では強磁性絶縁体相およびC型反強磁性相における電荷・軌道秩序について中性子散乱によって調べた。 1.強磁性絶縁体Pr_<0.75>Ca_<0.25>MnO_3 x=0.2〜0.4で強磁性金属相が出現するが,ここでは軌道秩序は消失し,二重交換相互作用が支配的であると考えられる。しかし,より低ドープ領域では強磁性絶縁体相が出現し,この相の存在は二重交換相互作用のみでは説明できない。強磁性絶縁体Pr_<0.75>Ca_<0.25>MnO_3における研究の結果,この相ではx=0に比べてJahn-Teller効果が弱まってはいるが,x=0と同様の軌道秩序(d_<3x>2_<-r>2/d_<3y>2_<-r>2)が依然として存在していることが示唆された。この軌道秩序が強磁性絶縁体の起源ではないかと考えられる。 2.C型反強磁性体Nd_<0.25>Sr_<0.75>MnO_3 x〜0.75で出現するC型反強磁性相はスピンがc軸方向に強磁性的,ab面内に反強磁性的に配列した鎖状反強磁性秩序相であるが,この磁気構造はd_<3z>2_<-r>2軌道の一次元的軌道秩序によるものと考えられている。この軌道秩序が存在すればスピン間の交換相互作用に大きな異方性をもたらすと予想される。そこでC型反強磁性体Nd_<0.25>Sr_<0.75>MnO_3のスピン波励起を測定し,分散関係から交換相互作用を求めたところ,c軸方向の交換相互作用J_cはab面内のそれJ_<ab>に比べて1.9倍程度であるという大きな異方性が確認された。この結果はd_<3y>2_<-r>2軌道秩序を強く示唆する。さらに興味深いことに,この系は絶縁体であるにも拘らずJ_cの値2J_c〜13meVは強磁性金属相の値と同程度の比較的大きな値であり,局所的にはe_g電子がホッピングしていることを示唆している。
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