Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
形成中の銀河(原始銀河)の分子ガス観測を通して、銀河形成の過程の解明や形成期の銀河の性質を明らかにするために、国立天文台の野辺山ミリ波干渉計とRainbowシステムを用いて、原始銀河候補天体と考えられる天体の観測を行った。赤方偏移3.1にあるSMM J2217+0013は非常に強いサブミリ連続波が検出されており、また、可視赤外波長域の分光撮像観測の結果が爆発的な星形成が現在も行われていることを示唆していることから、形成途上あるいは形成後間もない時期にある銀河であると考えられる。この銀河に対するCO(3-2)輝線観測を行ったが、有意に検出することはできなかった。進化段階が非常に若いと考えられるにもかかわらず、比較的少ない分子ガス量しか有していないことから、銀河の形成過程において、分子ガスの消費は非常に短いタイムスケールで進むか、あるいは多数の超新星爆発に伴う「銀河風」によって分子ガスは原始銀河外に放出されてしまう可能性があることが明らかになった。また、原始銀河の性質をより詳細に知るためのテンプレートとして、近傍宇宙の原始銀河類似天体であるNGC 6240の分子ガス多輝線観測も実行した。観測の結果、この天体の分子ガスの大部分は高密度かつ高温状態にあり、銀河中心付近に強く集中していることを明らかにした。また、高温高密度分子ガスの成因は重力不安定性によるものではなく、星形成領域からの強いアウトフローと分子ガスの相互作用によるものであることを示唆する結果が得られ、これは原始銀河においても同様であると推測される。
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