Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
固相-気相間の反応カイネティックパラメータを理解することを目的とし,鉄蒸気存在下での金属鉄の蒸発実験や,二次イオン質量分析計を用いた実験生成物の同位体分析をおこなった.異なる鉄蒸気雰囲気下で蒸発させた実験試料の鉄同位体分別のパターンを,拡散律速同位体分別モデルでフィッティングした.フィッティングで得られた同位体分別の鉄蒸気圧力依存性と,試料の蒸発速度の鉄蒸気圧力依存性から,カイネティックパラメータの蒸発・凝縮系数には,圧力依存性があり,非平衡条件下ではそれぞれが異なる値を明らかにした.これまで,蒸発・凝縮係数は非平衡条件下でも等しいと仮定されてきたが、それを覆す結果であり、物質科学においても非常に重要である. また,原始太陽系化学進化を調べる際に、天然試料から年代の情報を引き出すことは大変重要である.原始太陽系の年代情報を引き出すのに有効な手段は,現在は消滅してしまった短寿命放射性核種を測定することである.始原的隕石コンドライト中のトロイライト(FeS)に,^<60>Fe(半減期150万年)が存在した証拠を,二次イオン質量分析計を用いた微小部分析で発見した.コンドライトの中の^<60>Feの発見は,世界で初めてで,それらのトロイライトが太陽系の誕生から,約150万年以内に形成されたことがわかった,また,分析値から推定された太陽系誕生時の^<60>Feの存在量は,^<60>Feが超新星爆発によって原始太陽系にもたらされた可能性を示唆するものであった.この結果は,原始太陽系年代学のみならず,恒星内での元素合成モデルにも大きな貢献が期待できる.
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