Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.W染色体上の仮想雌性決定遺伝子Femは単離されていないが、レトロトランスポゾン、特にLTR型レトロトランスポゾンはW染色体特異的と言えるほど高密度に蓄積していることを明らかにしている。これらがコードするgagタンパク質にはRNA結合能があるため、Bmdsxの性特異的スプライシング、ひいてはカイコの性決定に関与している可能性がある。W染色体から見つかった数種のLTR型レトロトランスポゾンの転写産物量とDNAのメチル化レベルとの間には負の相関があり、これらの転写制御にはDNAのメチル化が関与していることを明らかにした。DNAのメチル化阻害により、人為的にLTR型レトロトランスポゾンの転写産物量を増加させた結果、Bmdsxのスプライシングパターンに変化は認められなかった。よって、Bmdsxの性特異的スプライシングには、DNAのメチル化や、特定の転移因子が関与している可能性は低いと推測された。2.Bmfruは第6染色体に、ハプロイドゲノムあたり1コピー存在し、選択的スプライシング・プロモーティングを介して少なくとも3種類のアイソフォーム(e40h型、NV型、br9型)を発現することを明らかにした。ゲノム構造を明らかにしたところBmfruは7つのエクソンおよび6つのイントロンから成り、スプライシングのドナー/アクセプターサイトは、GT/CAGであることを明らかにした。Bmfru mRNAの発現が顕著である生殖巣と能、および胚子における定量発現解析により、以下の結果が得られた。1)e40h型は、5齢幼虫後期の精巣特異的に発現量が多い2)脳ではe40h型はほとんど発現しておらず、NV型やbr9型の発現が顕著である。いずれのアイソフォームも、雄脳より雌脳での発現が多く、羽化に伴って転写産物量が急増する3)胚子では産下後9時間に、br9型の転写産物量が急増し、以降産下後20時間までの間に減少する。in situハイブリダイゼーションおよび免疫染色の結果、生殖巣の皮膜や、脳の視葉、食道下神経節における発現が認められた。
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