Project/Area Number |
00J08266
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
山口 裕之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | コンディヤック / ニュートン / ラヴォワジェ / 科学哲学 / 記号 / 分析 / 体系 / 観念 |
Research Abstract |
今年度は、研究計画に基づき、今までの研究を集大成すべく大部の論文を執筆し、『コンディヤックの思想-哲学と科学のはざまで』とのタイトルで勁草書房より出版した。著作の内容を概観することで、研究実績の報告とする。 本書は、フランス啓蒙期の哲学者コンディヤックの思想を、ニュートン物理学の方法論を他の領域に拡張していくという科学史上の流れの中に位置付け、その理論的問題点を指摘・検討することで、科学的知識の成立構造を明らかにしようとするものである。具体的には、彼の記号論・科学論における主要な論点である「分析」の諸相を検討した。まず第1章では、彼の思想を「心理学」と規定するル・ロワの古典的解釈を批判的に検討して彼の思想が「科学哲学」であることを示し、第2章では本書で検討する解釈上の問題点として、「分析により発見される質があらかじめ対象の側で分節されているのか否か」、「分析における記号の役割」、「知識の体系性」の三点を提示した。第3章では具体的なトピックとしてコンディヤックの知覚論を取り上げ、彼の議論が従来言われているような「知覚の成立」を論じるものではなくむしろ「知覚の意味づけ」を論じるものであり、分析の結果見いだされる質は人間の側の関心に即して設定されることを示した。第4章では「記号が観念を規定する」という彼の主張を取り上げ、その具体的な場面として、新たな観念が社会の中で制作されていく場面、及び既存の観念を記号を契機として学ぶ場面の二つが考えられることを示した。第5章では彼の記号論が結局のところ数学ないし数学的物理学をモデルとする「観念の計算」としての分析を目指すものであり、ラヴォワジェの化学はそうした彼のモデルを化学の分野に適用したものであるということを論じた。第6章ではそうした「観念の計算」によって獲得される認識の性格を検討し、科学的知識の体系性が、対象についての理解の順序と対象の再構成の順序という、本来異質な二つの順序を反映するものであることを示した。
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Report
(1 results)
Research Products
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