Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は、昨年度に引き続きタマネギ萎黄病ファイトプラズマ(onion yellows phytoplasma; OY)のゲノム遺伝子の解析を行った。OY-ファイトプラズマは野生株(OY-W)と継代保存中に病微の変異した弱毒変異株(OY-M)を維持している。昨年度まではOY-Wのゲノム遺伝子の解析がほとんどであったが、今年度はOY-Mのゲノム遺伝子の解析も大幅に進行した。感染植物からゲノムDNAを抽出しPFGEによりゲノムサイズを比較したところ、OY-Mが約10000kbpであるのに対しOY-Mは約870kbpであった。約130kbpのゲノムサイズの異なる領域には、病徴に変異を起こす、病徴決定因子が存在することが予想される。OY-Wの解析で昨年度に引き続きライブラリからのスクリーニングによるゲノムウォーキングを中心に行ったが、OY-Mの遺伝子解析ではOY-Wの塩基配列データに基づきPCRプライマーを設計し、LA-PCR増幅断片のショットガンシークエンスを行っている。また、免疫組織化学手法により、OY-W感染植物ではOY-M感染植物と比較し篩部における個体数が多く、篩部増生やカロースの沈着も多く認められたことから、これらの違いが病微との違いになっている可能性が示唆された。OY-Wゲノムよりタンパク質膜輸送系の1つであるSec systemの必須構成因子secA、及びsecy遺伝子クローニングした。SecAタンパク質を大腸菌において大量発現,精製し、抗SecAポリクローナル抗体を作出した。抗体を用いたウェスタンブロットと組織内免疫染色の結果、OY-W感染植物内でSecAが発現されていることが確信された。これらの結果は、OY-WにおけるSec Systemの存在を強く示唆する。ファイトプラズマは細胞壁を持たず、宿主細胞質内に寄生することから、その膜外分泌系は宿主-病原相互作用に重要な役割を果たしていると考えられた。
All Other
All Publications (4 results)