Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
コムソモールの崩壊過程を辿ることでソ連の体制変動の含意を明らかにする試みの一環として、コムソモールが唯一の青年組織としての正統性を喪失し、ペレストロイカの進展によって自発的に形成されてきた他の青年組織と、青年層の支持や新体制における存在意義をめぐって競合し時には協調関係を模索する諸相を論究したのが、今回の主研究である。「非公式団体」と称される青年層の社会組織の有り様を検証することは、ペレストロイカという時代を理解するための重要な要素であるばかりでなく、ソ連体制を規定する国家と社会の関係を探る上で欠くことができない作業である。そこで「非公式団体」が社会現象として最も注目を浴びた1987年から1988年の前半頃に、コムソモールと「非公式団体」との相互関係がどのように展開され、それがコムソモールの変質過程に決定的に影響したダイナミズムを多面的に検討し、研究課題の一部分としてまとめた。また、両者の歴史的相関が80年代後半の政治社会状況にどのように反映されているのかを再考するために、1920年代のコムソモールや青年文化を論じた先行研究について書評論文において考察した。そして、ペレストロイカを社会運動の視点から把握する予備的スラップとして、コムソモールと「非公式団体」の関係を社会運動論から論じる小論を準備した。方法論や資料の点で不十分な点が残るが、最終的総括にむけて重要な部分をまとめる事ができた。
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