Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,低次元量子スピン系において,電子輸送現象を測定することから,低次元系が持つ量子揺らぎと電子相関の効果が発現させる新奇な物性,超伝導やLuttinger流体など,を実現するような物質を探索し,輸送特性の測定からその物性の由来を明らかにしていくことを目的としている。 まず,これまでに発見された低次元量子スピン系である梯子型銅酸化物Sr_<14>Cu_<24>O_<41>系について,様々なキャリア濃度組成における高圧下電気伝導率の温度依存性の測定を引き続き行い,この系の高圧下における相図,すなわち,超伝導の発現する圧力・組成範囲と,電荷秩序を発現する相の確定,を確立した。この結果はEurophysics Lettersに発表された。 また,同じSr_<14>Cu_<24>O_<41>系において,150K付近にピークを持つ異常な熱伝導率が発見されており,この由来についてスピンギャップとの関連も含めて研究を行った。その結果,1次元鎖を持つ系Sr_2CuO_3やSrCuO_2,また,梯子型構造を持つ系CaCu_2O_3において熱伝導率の異常な異方性が測定された。この結果は,低次元スピン系における熱伝導とスピン自由度の関係について新たな興味を集める契機となった。 さらに,東大物性研・藤原氏との共同研究において,Sr_2Ca_<12>Cu_<24>O_<41>の超伝導状態でのNMR測定にはじめて成功し,この系の超伝導がコヒーレンスピークを持つということを明らかにした。 最後に,最終目的である,超伝導などのエキゾティックな物性を発現する1次元量子スピン系の発見については,残念ながら実現しなかった。これについては,今後個人として継続して挑戦していきたい。
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