Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、アインシュタイン方程式を解くために、他の研究グループが用いているconformally flat condition(CF条件)という条件を使用しないで、積分方程式化するという定式化を行い、その定式化をもとに3次元の数値計算コードを開発し、連星中性子星の構造を求めてきた。これを用いてバリオン質量一定の平衡形状系列を求め、軌道進化の際の不安定性を議論した。この結果をCF条件を仮定して求められたBaumgarte et al.(1998)と比較すると、求められた角運動量などについて、定式化に起因する違いが見られた。これによって、従来の定式化による結果が、必ずしも普遍性をもったものではない可能性が示唆されたことになり、これまでの計算結果についてどの程度現実を近似したものであるかを再考察する必要性を主張したものとして、この結果は重要である。一方、中性子星の構造を近似するには0.5<N<1.0のポリトロープがよく用いられているが、連星系が進化するとき、ポリトロープ指数やポリトロープの定数がどのようにふるまうかはまったくわかっていない。一方、中性子星物質に対しては、核子密度を越えるような非常に高密度な領域に渡って、現実的な状態方程式が提唱されている。これを用いると、平衡解の系列を進化に対応させる際、状態方程式そのものに起因する不定性以外の不定性は現れない。そこで、本研究では、現実的な状態方程式を採用し、連星系がどのように進化するかについても調べた。この際、合体時の質量が1.4太陽質量の中性子星を考えると、星が合体するよりも前にセキュラー不安定を起こすことがわかった。さらに、この振る舞いは状態方程式としてポリトロープを採用したものでは完全には近似できないこともわかった。
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